説明
2014年に当店が東京・南青山の「べにや民芸店 ギャラリー」で開催した企画展「柳宗悦の選ばなかったもの Vol.3 茶わん」に際し、展示品を記録するために製作した図録です。明治から昭和中期ごろまでの、一般家庭で使われていた飯茶碗のデザインを考察しました。
どの家庭にも必ず存在した「ごはん茶碗」は、その流通量はもとよりデザインの多様性は膨大なもので、その絵付けは窯元の職人が行うため、簡易で華やかで、縁起よく見えて(店頭で)一目も引くために頭をひねって考えられました。それが時折不思議な模様を生み出しますが、これらはデザインという視点で記録されることはまずありません。美術的価値も工芸的価値もない「ただの茶碗」のデザインを延々と記録したこの展示会は、逆にデザイン関係者や民芸の関係者の人々に興味を持って迎えられました。
この本の茶碗の写真は全てカラーです。
紹介されている茶碗は基本的に時系列で、明治、大正昭和、戦時、戦後、子供向きに分けられています。また、展示会終了後に編集した付録として、京都・西陣の食器屋がストックしていた家庭用および業務用(うどん屋向け)の食器を紹介した特集もあります。
収録コラム
・なぜ茶碗には柄がついているのか
・柳宗悦は、なぜ瀬戸と有田の雑器は選ばなかったのか
・「瀬戸もの」について
・茶碗のデザインについて
・付録 京都西陣の食器屋の蔵品
・戦闘機の茶碗
・ごはんの量
・米食は本当に日本人の常識か
・戦時中の、米を増やす方法
全40ページ、B6版