説明
1938年(昭和13年)から1946年(昭和21年)まで存在した国家総動員法により日本国内の物資統制が行われ、新造される日用品・耐久消費財は一定の規格に沿って供給されることになりました。厚手の白磁に細い緑線を入れたシンプルな器類は、戦後他の柄やロゴを入れて業務用食器や会社のノベルティに転用されたケースが多く見られました。この小鉢は戦時当時の状態のままの物です。
この鉢は3寸半(直径約10.5cm)の平底小鉢ですが、飯碗、汁椀、取り鉢、おかずの盛り鉢等、色々な用途に使える大きさに設計されています。生地は砥部焼のように厚手ですが、これは耐久性を増して長期間使用できるようにするため(物資不足のため、割れても簡単に代わりの品が用意できないため)と、未熟練者でも製造できるように、ロクロではなく型込めで成型したためではないかと思われます。ただ、同種の統制食器と比べて比較的軽く、熟練者が作ったと思われることから、統制初期でまだ専業の職人が現場にいた時代の物と思われます。
産地は美濃ですが、底裏に「倉陶」という個別の産地表示があるため統制初期です。(戦争後期には「岐」のなります)出荷前の状態で保管されていたもののため未使用新品ですが、製造から80年以上経過しているため底等に擦れ等があります。生地に点や細かな凹凸等がありますが当時の製造環境によるものです。代品が無いため、返品や交換はお受け出来ませんのでご了承のうえご注文下さい。
容量 約180cc