説明
1900~1910年代(明治後期)に作られたと思われる平皿です。焼き魚などのいわゆる「メインディッシュ」を盛るための皿だと思われますが、洋食器そのままの形状ではなく、煮魚など、汁気のあるものをきれいに盛るために若干深さがある「皿と平鉢の中間」のような構造になっています。これにより、盛った料理にさらにソース類をかけても食べやすくなります。
デザインは、当時の一般的な食器の慣習として、前面にスタンプで絵柄を付けた「染付印判」の器です。これは明治時代に初めて行われた「大量生産」を前提にした手法で、「コンニャク判」と呼ばれる弾性のあるスタンプで少しづつ絵を付けてゆく方法です。手作業による軽工業であり、未熟練者にも作業できるため、大量生産が可能になりました。
表面の絵柄は梅の花がデザインされたもの、周囲の模様はおそらく鳳凰、百合、そして漢字の「福寿」です。19世紀から20世紀初頭にかけては白磁の日用品はまだ珍しく、高級品・貴重品のイメージを演出するため中華風のモチーフが多く使われていました。
明治の染付皿にはほぼ必ず中央に「松竹梅」を模した丸紋が入るのですが、この皿にはそれがなく、あくまで中華風をイメージした目皿しい柄です。
この商品は製造から100年以上が経過しているため、底部に擦れがあります。表面には釉薬が焼き上げ時に収縮して素地が露出して「ちぢれ」と呼ばれる部分があります。また内部に小さな凹凸、黒点等があります。これらはこのタイプの焼き物の製造時に必ず付くものです。代品がないため返品・交換はお受けできませんのでご了承のうえご注文下さい。