説明
江戸時代後期の、伊万里焼の深鉢です。
当時の料理屋、特に蕎麦屋の器は伊万里の八角鉢を使うことが多く、特に江戸ではそばの器は通称「八角」と呼ばれており、専門の取り扱い業者もありました。
17世紀に伊万里が磁器を開発すると、磁器ならではの「型打ち」技法によりろくろ挽き以外の成形をもって「磁器=高級品」であることを示すため、角型の器が競って作られました。これらはそば丼以外にも煮売屋の盛り鉢や水菓子(カットフルーツ)屋の器にも使われ、浮世絵にも描かれています。
この深鉢はまさに江戸時代の蕎麦屋などに使われたスタイルの丼です。角型の磁器は1610年頃から存在しますが、蕎麦屋に普及したのは寛政、文政、天保(1789~1844)にかけてであり、この器もこの頃の物と思われます。
縁の牡丹や綾菱の丁寧さに比べ、見込みの花文様がイージーで可愛らしいのが特徴です。これは、縁部分は常に柄が見えているのに比べ、内側はそばを盛りつけてしまうと柄が見えないため簡略的な絵柄が付いたと思われます。
サイズ 16.5×16.5×7.8㎝
重量 422g
容量 360㏄(縁の太い青線まで)