説明
19世紀におそらく有田(伊万里)で作られた染付のそばちょくです。
割れ、欠けを、日本伝統の食器修理法である「金継」で補修してあります。
金継は元々、室町時代前後に高価な茶道具や美術品の補修のために行われていたもので、器の欠けや割れを、漆で練った砥粉や木粉、絹糸でパテ・接着剤として繋ぎ、成形と研ぎを繰り返して最後に金粉で装飾します。本来隠すべき傷やヒビをあえて高価な金で装飾することにより、
「この品物は、割れや傷程度で価値を減ずるものではない」「金を傷に塗るほどの価値がある」と逆説的に価値を誇示することが出来るため、室町・桃山時代の茶人などはわざと器を割って金継を施したものを高値で取引するケースも見られました。
このそばちょくは19世紀の「荒物」に近い日用品ですが、作られて既に100年以上が経過しているため、金継による補修も似合う貫録を見せているのではないでしょうか。
手描きの絵柄はおそらく梅の花と藤(あるいは山ぶどうの実)なのではないかと思われますが、詳細は不明です。製作年代も不明ですが、顔料の色合いや絵のクオリティからすると江戸時代(1800年代前半)あたりかも知れません。
金継は倉日用商店で行いました。本漆、純金を使用しています。