説明
大正頃に作られた、手描きと印判を組み合わせた錦のそばちょくです。
当時、技術革新と経済成長により、染付(青い染料で描かれた文様)一色だった庶民の食器の中に江戸・明治には高級品の特徴であった赤や金を使った「錦手」の器も作られるようになっていましたが、本来工芸品として精緻に描かれるそれらの文様が大量生産されるようになると、旧来の職人の手練れで素早く描かれることにより「錦」としての格調がない「雑(に見える)」筆致が目立つようになり、工芸家や評論家からはそれを嘆く声も起こりました。
大正後期になると食器には細かな模様を印刷技術で表現できるようになるため、このような手描きの絵柄は少なくなってゆきます。
このそばちょくは、染付(青い部分)はスタンプ(印判)による絵付け、それ以外の色絵部分は手描きのものです。古伊万里を模したようなイメージですが、一見何を描いているのかわからないほど簡略化した筆致が独特の味を出しています。
赤い丸は牡丹の花を表していますが、本来花が金彩で描かれるべきところが省略されているものがある珍しい物です。一部には金彩が入っています。
最初から略されているのか、あとから金彩がはがれたのかは不明です。
白磁ですが、一部に金彩が入っていますため電子レンジや食洗器の使用はご遠慮ください。
製造から100年以上経過しておりますので、保管により一部にしみ、傷等がある可能性がありますが、ご了承ください。
サイズ 8.5×6.7cm
重量 170g